米国のトウモロコシ畑に現れた“フィールド・オブ・ドリームズ”は結局、幻だった――。 ブッシュ大統領が2006年初の一般教書演説で、再生可能燃料であるバイオエタノールの重要性に言及して以来、米国ではトウモロコシから作るバイオエタノールブームが巻き起こった。 だが、その一大ブームからわずか2年足らず。今年10月31日に、終焉が誰の目にも明らかになる出来事が起こった。米エタノール業界最大手の一つ、ベラサンエナジーが日本の民事再生法に相当する連邦破産法11条を申請したのだ。 「業界では、ベラサンは1年くらい前から危ないと言われていた」(農林水産政策研究所の小泉達治主任研究官)。同社は積極的なM&Aで事業を拡大したが、生産マージンが悪化する中で資金繰りの不安がささやかれていた。そこへ経営の判断ミスが致命傷となる。今年6月の記録的な高値局面でトウモロコシを買い込んだため、08年7〜9月だけで4・