公共投資の復権を考えている人が出始めてきた。自民党は「国土強靭化法案」を今国会に提出している。10年間で総額200兆円をインフラ整備などに集中投資するという。 5月9日の本コラムで「道路4社人事で利権漁りがある」と書いたが、民主党も大型公共事業復活などで「人からコンクリート」の動きになっていることと奇妙に符合する。消費税増税で事実上の連立になっている民・自・公は、消費税増税による景気減速を逆手にとって、公共投資で補おうという魂胆である。 ちなみに、3党合意によって、消費税増税分を公共事業につぎ込むような条文修正もされている。もう社会保障の充実に使うという野田首相の言葉はとうになくなっている。 公共投資をすれば名目GDP(国内総生産)が伸びるという人もいるが、名目GDP伸び率と名目公共投資伸び率のデータを見ると関係はない。理論的には公共投資の需要創出効果はあまりない。十分な金融緩和がな