Chapter 1 希代の発明家が繰り広げた"電流戦争" 現在の主流の交流電力システムのルーツは、商用電力の黎明期である19世紀末にさかのぼる。実はここには発明家トーマス・エジソンも絡んでいる"電流戦争"があった。 当時、交流電流と直流電流のどちらを採用すべきか、企業、専門家、政治家たちによって論争が繰り広げられた。なかでも、各陣営を代表する2人の発明家による私情を含んだバトルは"電流戦争"と呼ばれ、電力史の重要な一幕とされる。その発明家とは、ニコラ・テスラとトーマス・エジソン。 ◆交流陣営 テスラは、オーストリア帝国出身で、現在も用いられる交流モーター、交流システムの基本原理を発見した。交流の優位性を訴えるためにエジソンの元で働き出すものの、受け入れられず退社。有力者の協力を得て、交流システム開発の中心人物として大きな功績をあげた。その後は人間関係の問題や、当時としては突飛な発想が受け入