浙江省の高速鉄道駅構内に掲示された中小企業向け融資の広告「出口はどこに?」と書かれている。最近、この手の広告が増えた(筆者撮影) 2018年の秋、筆者は中国で、ある民営企業の経営者A氏と食事をした。招かれた場所は華東地区の豪勢な乗馬クラブ。羽振りの良さをうかがわせたが、昨今の深刻な不景気はさすがに彼にとっても他人ごとではない。 A氏は「状況は非常に悪いですね。私の周りでも、倒産が相次いでいます」と表情を曇らせた。 その数日後、政府による、民営の中小企業の経営コストを大幅に引き下げるための一連の施策が、経済紙に掲載された。経営を少しでも好転させようという異例の策である。 施策の主な内容は、中小企業向けの融資を広げ、税金を引き下げ、社会保険の負担額を減らし、電気代を引き下げ、新たな起業の際は用地取得の面倒を見る──といったものだ。 民営企業はGDPの6割を叩き出し、政府にとって5割以上の税収源