《愛の夢 第1番》を51小節まで弾いてくれた。忘れがたい演奏だった。「音楽に陶酔して。現実世界から完全に離れ、あたかもピアノの前に座ってさえいないかのように。ライプツィヒ音楽院みたいに、1、2、3、4と数えながら弾いちゃだめだ」 (1884年6月20日、リスト:《愛の夢 第1番》のレッスン/生徒:グライベル) テーマを比類ないニュアンスで弾き、さらに神経質に拍をカウントする感じで、音楽院でありがちな稚拙な弾き方を面白おかしく真似てみせた。 (1884年6月11日、ショパン:バラード第3番のレッスン/生徒:ファン・デル・ザント) 「この作曲家は音楽院を卒業できなかったのが明らかだな!」 (1885年6月16日、リスト:《詩的で宗教的な調べ》より〈葬送〉のレッスン/生徒:アンゾルゲ) テーマの装飾音符は急いだ感じにならず、雄大に、表情豊かに弾くこと。そうしないとライプツィヒっぽく聴こえてしまう