南米ペルーの南海岸にある世界遺産「ナスカの地上絵」は、「世界8番目の不思議」といわれる。荒涼とした石と砂の台地に刻まれた無数の直線、幾何学文様、動植物の絵。誰が、何のために、どのようにして描いたのか。この謎の解明に挑んでいる坂井正人・山形大教授(文化人類学・アンデス考古学)は最近、現代のナスカでも地上絵が描かれていることを知った。 ナスカ台地は東西約20キロ、南北約15キロに広がる。1920年代から考古学調査が行われ、当初は直線や三角形、渦巻きなどの幾何学文様、その後、ハチドリ、オウム、コンドル、トンボ、サル、クモ、クジラ、花、樹木、海藻などの野生動植物の絵が次々と確認された。総数は1000点以上。 坂井さんは94年からナスカ地上絵を研究してきた。分布に何か規則性がないかと、2004年からは山形大の研究チームで人工衛星写真を精査して、全長65メートルの生物らしい図像を含め、100点以上の地
水質を浄化してきれいな海にしようと、相生市那波本町の市立那波小(勝谷秀史校長)の児童94人が7日、浄化に効果があるとされる「EM(有用微生物群)団子」約7000個を学校近くの那波港に投入した。 自然保護グループ・相生湾自然再生学習会議(関根正道代表)が指導し、今回が7回目。10月29日にEM菌と土、米ぬかを混ぜて児童たちがテニスボール大に丸めた団子を用意した。 投入前に、学習会議の松村晋策・副代表(64)が「団子は海底のヘドロを分解する。みんなの力で海をきれいにしよう」とあいさつ。児童たちは岸壁に一列に並んで、団子を次々に投げ入れた。4年の金谷菜ノ遥さん(10)は「近所のお年寄りから、この港にも昔はカブトガニがいたと聞いた。海がきれいになってカブトガニが見られるようになったらうれしい」と話していた。【小泉邦夫】 〔播磨・姫路版〕
◇「役に立つこと」を念頭に 科学技術と社会の関係研究−−小林傳司教授(57) 科学技術と社会の関係を研究する「科学技術社会論(STS)」という学問領域がある。小林傳司(ただし)教授(57)は01年にSTS学会を立ち上げ、日本ではなじみの薄いこの領域の研究を進めてきた。昨年3月11日の東日本大震災、その後の東京電力福島第1原発事故以降、科学と社会を巡る問題は急速に先鋭化した。小林さんは新しいエネルギー政策を巡り政府の調査や意見聴取会の結果などを検証する「国民的議論に関する検証会合」のメンバーを務めるなど、震災以降も行政と関わりながら発言を続けてきた。 震災以降、低線量被ばく問題など科学は不可欠だが、科学だけでは対処を決められない問題は山積する。「STSの蓄積は必ず生きる」と話すが、現状は「反省ばかり」だ。なぜか。「例えば原発問題でも安全/危険で色分けされ、固有のリスクがあることを前提に、それ
科学の権威への不信感は大学1年、18歳の時にさかのぼる。祖父、父とも医学博士の家に生まれた島薗さんは医師になるため猛勉強し、現役で東大に受かった。「金沢大付属高校時代、自分の道を考える前に競争に乗った。現在の経済にも似て、目的を定める前に競争に勝たねばならない。そこに疑問を感じていた」 大学に入った67年、医学部闘争が始まる。「先輩たちの闘争を見ていて、医学者の権威主義、ごまかしを知った。東大医学部長を務めた祖父は水俣病の病因隠蔽に関わったし、いのちを守る学問という姿勢が欠けているように見えた。もっと科学技術の陰を直視せよと学生だった自分は感じていた。その経験が今、原発問題を考える原点になっています」 紛争後、医学に戻る気がせず、収容所文学など人間の苦悩に向き合う思想にひかれ、「人間を学ぶ場として宗教学に進路を変えた」。 科学と人間の関係を直視するようになったのは、28歳の時の闘病も影響し
◇まき割りで鍛え、自然に 分娩制限施設、予約に苦労も コン、カコーン−−。うっそうと木が生い茂る庭に、まき割りの音が響く。おのを握るのは、大きなおなかを抱えた妊婦たちだ。 愛知県岡崎市の産院「吉村医院」では、妊婦がまき割りや井戸水くみといった「作業」に汗を流す。お昼には江戸時代に建てられた古民家で、まきで炊いたご飯をほおばる。 吉村医院は「本当の自然なお産」を実践している。帝王切開や、赤ちゃんを産道から引き出す吸引分娩(ぶんべん)などの医療行為をできるだけ行わず、母子の力でお産をやり遂げることを目指す。そのために、妊婦の体作りを重視する。妊娠中は「作業」のほか、自宅で毎日2〜3時間歩き、スクワットを200〜300回続けるよう指導する。 体力と気力を培い、和食に徹した食生活で臨んだお産では、「赤ちゃんがつるっと生まれてくる」という。田中寧子副院長は「妊娠中の取り組みがあるからできる、計画的な
<NEWS NAVIGATOR> ◆ヒッグス粒子って何? ◇万物の誕生説明する「神」 ノーベル賞・南部博士の理論が土台 なるほドリ 「ヒッグス粒子」が存在する可能性が強まったそうだけど、ヒッグス粒子ってどんなもの? 記者 「素粒子に質量を与える役割を担った、仮説上の素粒子」です。64年、英国のピーター・ヒッグス博士(1929〜)らが存在を提唱しました。素粒子物理学を支える「標準理論」は、ヒッグス粒子が存在すると仮定すればうまく説明できるのですが、実際にはまだ見つかっていないのです。 Q 素粒子ってのも分かんないなあ。 A 物質を「これ以上分けられない」ところまで小さくした粒を素粒子と呼びます。原子核を作っている陽子や中性子は、「クォーク」と呼ばれる素粒子の組み合わせ。電子は「レプトン」の仲間です。これらさまざまな種類の素粒子がいろんな力で結びついてこの世があるわけですが、全体を説明するため
児童8人が犠牲になった01年6月の大阪教育大付属池田小(大阪府池田市)乱入殺傷事件以降、子供を守るための安全・防犯対策が全国各地で進んだ。それぞれの地域で一定の成果をもたらしたが、その一方で「見知らぬ大人は不審者」という不安感を子供の心に植え付けてこなかっただろうか。 ◇児童自ら判断できる力育てよう 事件から11年たち、付属池田小は、子供自らが考え、判断力をつけさせる安全教育の教材を開発した。基盤にあるのは、子供に信頼される地域、学校、家庭だ。そのためにも私たち大人は「ちゃんと支えているよ」と子供たちを安心させるメッセージを発信していくことが必要だ。 ◇「危ない」ばかりでは不安感増す 教材作りの中心は、付属池田小の校長を07年から4年間務め、現在、大阪教育大の学校危機メンタルサポートセンター長を務める藤田大輔さん(51)。同小は事件後、防犯ブザー設置といったセキュリティー対策を進めた。校長
松山市の日浦小(小野誠一校長、児童数44人)が、24日から1泊2日で予定していた北九州市などへの修学旅行を延期したことが分かった。北九州市が東日本大震災の被災地のがれきを受け入れたことで、保護者が「子供たちを行かせるのは不安」と反対したため、行き先を変更する方針を決めた。 同校によると、修学旅行は6年生6人全員が参加。24日に広島市から北九州市の遊園地「スペースワールド」へ向かい、同市内で宿泊。25日に山口県を訪れる日程だった。 しかし、北九州市が23日、宮城県石巻市のがれきを受け入れ、西日本で初の試験焼却を始めたため、6年生の保護者全員が反対し、学校側が延期を決定。児童には24日朝に説明した。小野校長は「安全を確認して説得したが、保護者の総意なので受け入れた」と説明している。【栗田亨】
◇教育格差、今こそ正す時 新学年が始まる頃になると、「マンドの奇跡」に思いをはせる。 世界銀行での23年間、多種多様な職務に就いたが、何故かどこに異動してもパキスタンがつきまとった。非人間的な貧困生活を初めて知り、想像を絶する貧富の差に強烈なショックを受けた国だ。民主主義を隠れみのに腐敗しきった為政者は、私腹を肥やすこと以外は無関心。それを嘆くことさえ諦めた国民感情に、Failed State(破滅国家)となりうるリスクを察知した。貧困解消への糸口など見えず、パキスタンの未来に絶望感を抱き始めた頃、「マンドの奇跡」を知った。 パキスタンで最も貧しい地域は、南西の片隅にあるバルチスタン。そのまた片隅のマンド村に、小学校から高校までの一貫校、マンド女学院がある。女学院の偉業に感動した人々が、誰からともなく「マンドの奇跡」と呼びはじめ、定着した。
橋下徹・大阪市長が代表を務める「大阪維新の会」の市議団が議員提案を予定している「家庭教育支援条例案」に批判の声が広がっている。条例案は、児童虐待や子どもの非行などを「発達障害」と関連付け、親の愛情不足が原因とする内容だが、医師や保護者らが「根拠がない」「偏見を助長する」と猛反発。発達障害の子どもを持つ保護者らの13団体は7日午後、議会を訪れて提案中止を求める考えで、市議団も5月議会での提案見送りを決めた。 条例案は今月1日、維新市議団が公表。児童虐待が相次ぐ現状を踏まえ、家庭教育の支援や親に保護者としての自覚を促す目的で作られた。「親になるための学びの支援」「発達障害、虐待等の予防・防止」など全5章、23条から成る。 しかし、発達障害について「乳幼児期の愛着形成の不足」が要因と指摘し、「伝統的子育て」によって障害が予防できるなどと言及した条文に批判が続出。高田哲・神戸大大学院教授(小児神経
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