繰り返す生と死が戯れる太陽と月に似てその意味を失いつつあるさなか、王女のペットとしての自覚が芽生えはじめた元・勇者です。かつて女僧侶が独占した俺のやおい穴も王女が所有権を主張してからは自動的に王家の財産となっていた。いにしえの錬金術師にすら成し得なかった伝説上のやおい穴は断固保護されなければならないという宮廷魔術師(女子一同)の進言により、ほどなく俺のやおい穴は国宝に指定されたのである。俺の人格は添え物に過ぎなかったが国宝の具有者にして王女のペットという王宮内での立場は複雑なものとなっていった。この頃になると俺は完全に開き直り、やおい穴を使った腹話術を体得して他国から来た使節団にこっそり発表してみたりボーイズラブ研究の第一人者と雑誌で対談してみたりと充実した生活を謳歌していた。そのとき俺はまだ知らなかった。秘密裏に王女が女僧侶と接触し、進化の秘宝を行使してフタナリ王女と成り果てていたことを