駅や商店街に設置され、犯罪に目を光らせる監視カメラ。人々の顔の特徴を見分ける「顔認証技術」を搭載し、さらに役立つ存在に……と思ったら、いや、待てよ。それだけではない議論が今、世界で巻き起こっている。 ロンドンの自宅に、一通の封書が届いた。中身は駐停車違反通知。朝、子どもを学校に送った際に、校門前で一時停車した場所がいけなかった。反省しつつ驚いた。通知書には証拠写真が、車を降りた子どもの姿とともに載っていた。 後日、校門前に立った。子どもの安全を見守ってくれる心強い監視カメラがあった。「罰金対象」として映った情けなさと切なさ、そして、ちょっぴり怖さを感じた。 英国は監視カメラ大国として知られる。英報道によれば、ロンドンだけで40万台を超えるとされる。1990年代に防犯目的で政府が推進し、2005年のロンドン同時多発テロを機にさらに拡大した。テロや凶悪犯罪が絶えない社会で市民の理解を得てきた。
