巨大なITプロジェクトを成功させるのがどれほど難しいことであるかは、CIOであれば十分にご承知のところだろう。それを身をもって体験したのが、米国メイン州である。同州は、新しく開発しようとしたメディケイド請求／支払いシステムの開発プロジェクトで、さまざまな巨大プロジェクトの“落とし穴”にはまってしまった。しかも、それに対して適切な措置を講じることができなかったために“惨憺たる結果”を招いてしまったのである。本稿では、失敗に次ぐ失敗で大混乱を引き起こしたメイン州のメディケイド請求／支払いシステムの開発プロジェクトを例にとって、プロジェクトを進めるうえでの注意点やリスクを明らかにしたい。 （CIO Magazine 2007年7月号に掲載） トラブル続きのシステム メイン州保健福祉省のIT担当ディレクター、クレイグ・ヒッチングス氏（左）と同州の現CIO、ディック・トンプソン氏（右）。両氏は、新し

検証！オープンソースERPの実力 オープンソースERPは、ERPソリューションの本流となりうるか？ 関連トップページ：ベンダー・マネジメント | ERP | オープンソース／Linux | 【特別企画】Technology Update ここ最近、中堅・中小の米国企業の間で、オープンソースのERP（Enterprise Resource Planning）アプリケーション（以下、「オープンソースERP」）への関心が高まっている。というのも、オープンソースERPならば、商用のERPパッケージが抱える種々の課題を解決できると期待されているからだ。だが、それは本当のことなのだろうか。本稿では、その真偽を検証する。 ギャレン・グルーマン ● text by Galen Gruman 商用ERPかオープンソースERPか 米国に、バーテックス・ディストリビューションという会社がある。この会社は、組み立

Home News CIO Interview 5周年記念：CIOの肖像 Case File 国内事例 海外事例 Industry Review STRATEGY CIOの役割 経営革新 ITガバナンス 業務改革／ビジネス・プロセス改革 ROI／IT価値 ベンダー・マネジメント IT組織／ITスタッフ コンプライアンス プロジェクト・マネジメント Solutions & Technologies IT基盤 データ／ストレージ管理 システム統合 ITマネジメント クライアント管理 B2B CRM BI ERP SCM／設計製造 セキュリティ管理（CSO Online） システム開発 Webサービス オープンソース／Linux EIP／コラボレーション ナレッジ・マネジメント eコマース サーバ・テクノロジー アウトソーシング ネットワーク／ワイヤレス Event Research Col

サプライチェーンの全体最適化を図る国内アパレル業界 業界標準構築へ、取引慣行にメスを入れよ 関連トップページ：SCM／設計製造 日本のアパレル（衣服）業界は、長い間、前近代的で非効率な商慣行の下で取り引きを行い、そこで生じるリスクをすべて商品単価に上乗せさせてきた。つまり、業界各社は“反・顧客主義”的なビジネスを長く展開してきたわけだ。しかし、ここ数年の深刻な不況はアパレル各社にも深刻な打撃を与え、業界全体が構造改革の必要に迫られている。その帰結として、にわかに活発化してきたのが、IT（情報技術）を駆使したビジネス・フロー改革の動きだ。本稿では、そうした業界各社の取り組みを紹介する。それを通じて、日本のアパレル業界が目指すべき方向性について考察したい。 三田村蕗子　text by Fukiko Mitamura リスク回避のビジネス・モデル 日本におけるアパレル産業の歴史は古く、その市場規

企業のCIOが描く、2007年のIT投資戦略 「CIO Magazine IT投資動向調査2007」報告（前編） 関連トップページ：ROI／IT価値 “戦後最長の好景気”を迎えているとされる現在の日本経済。本誌CIO Magazineが2006年9月に実施した「IT投資動向調査」でも、企業のIT戦略に追い風が吹いていることがはっきりとうかがえる結果が出た。とりわけIT投資については、2006年度に大きな成長を示し、その傾向はどうやら今後も続きそうな気配だ。本稿では前編として、IT投資に絞って調査結果をお届けする。 再び急上昇したIT投資の増加率 6回目を迎えた2006年9月の「CIO Magazine IT投資動向調査2007」の結果を見て、最初に目につくのは、企業のIT投資意欲の急激な高まりだ。そこでまずは、2006年度（2006年4月〜2007年3月）のIT投資額の増減に関する傾向から

Web界の巨人「グーグル」の果てしなき野望 “Webコンピューティングの旗手”が企業ITの制覇に乗り出した！ 関連トップページ：ITガバナンス | IT基盤 | ネットワーク／ワイヤレス | 【特別企画】Technology Update 今や、IT業界の新しき旗手としての地位を不動のものにした感があるグーグル。だが、あなたは、なぜこの会社がここまで注目を集めているか、その真の理由を理解しておられるだろうか。グーグルが取り組んでいるのは、アプリケーションのインストールもロールアウトもいらない、画期的なWebコンピューティング環境の実現である。今後、エンタープライズ市場へも本格的に進出するという同社の取り組みが実を結べば、CIOはおそらく、企業ITに対する考え方を根本的に変える必要に迫られることになろう。本稿では、そんなグーグルの戦略を紹介しながら、Webコンピューティングが企業ITにもたら

高まるデータ統合のニーズにこたえるために データ統合ソリューションを使いこなし、情報資産管理体制を強化する 関連トップページ：【特別企画】データ統合 多くの企業にとって、基幹系のシステムと情報分析・活用系のシステムを横断的に活用するためのデータの統合は、積年の課題であると言える。しかしながら、データの統合にはコードの統一やメタデータの管理といった複雑かつ高負荷の作業が必要になるため、その実行には二の足を踏んでいる企業も少なくない。また、データ統合に際しては、データの品質や信頼性を維持するための社内体制づくりも欠かせない。そこで本稿では、データ統合を実施する際に企業が直面する課題を探りつつ、有効な情報資産管理を行うためのポイントを提示したい。 浅利浩一 アイ・ティ・アール　シニア・アナリスト ● text by Kouichi Asari 高まるデータ統合への需要 唯一無二の正確なデータは、

昨今、企業や公的機関で、従業員の不正なIT使用に起因する情報漏洩事件が相次ぐなか、従業員のIT利用状況を監視しようと考えているCIOも多いのではないか。だが、はなから従業員の行動を疑ってかかったのでは、彼らのモチベーションを低下させることにもなりかねない。そうしたなか、生保大手の第一生命では、従業員の不正なIT利用を監視するのではなく、むしろ積極的にITの活用を推奨しながら、情報漏洩などの事故が起きた際に確実にその原因を追跡できるようなIT基盤を構築することで、万が一の事態に備えている。その根底に流れているのは、「従業員満足度の向上が顧客満足度の向上につながる」という、同社のポリシーである。本稿では、業務効率の向上を見据えた、同社のポジティブな“IT監視術”に迫る。 CIO Magazine編集部 ● text by CIO Magazine 顧客情報という最大の財産を適切に管理・活用する

不要になったPCを、あなたは正しく捨てていますか？ 今こそ、“PCライフサイクル管理”の再点検を 関連トップページ：ITマネジメント | クライアント管理 モノには必ず寿命がある。社員ひとりひとりのデスクに配備されたPCについても同様だ。1人1台のPC環境が当たり前のものとなって久しいが、CIOおよびIT部門は今、コンピュータ機器の“導入”よりもむしろ“廃棄”に気を配らなければならなくなってきているのである。だが、ほとんどの企業では、コンピュータの“正しい捨て方”については、まだ関心が低い。本稿では、環境問題に関連する法制化の動きなども踏まえながら、コンピュータの“ライフサイクル管理”のあるべき姿を考える。 スコット・ベリナート ● text by Scott Berinato いま求められる“PC廃棄計画” PCを業務で利用するうえでいちばんやっかいな問題は、機種選びでも、初期設定作業で

クレジットカード詐欺との果てしない戦い 拡大する被害に対して、オンライン小売り業者がとりうる防御策とは？ 関連トップページ：セキュリティ管理（CSO Online） | eコマース だれもが気軽に楽しむようになったオンライン・ショッピング。だが、その陰で、米国の小売り業者たちは今、“クレジットカード詐欺”との果てしない消耗戦を強いられている。この戦いに敗れれば、自社の収益を損なうばかりか、大切な顧客を失うことにもなりかねないだけに、彼らは詐欺対策を重要なセキュリティ問題と位置づけ、ITを活用した対策の高度化・自動化を進めているのである。2005年の総被害額が28億ドルにも上るとされるクレジットカード詐欺を巡って、今、何が起こっているのか──その最前線をリポートする。 サラ D.スカレット ● text by Sarah D. Scalet 運命を左右する“決定的瞬間” 業界団体マーチャント

日本に限らず米国でも、オフショア・アウトソーシングを検討しているCIOは、インドよりもさらに安価な労働力を得ることができる中国に目を向け始めている。米国大手プラスチック成型メーカーであるナイプロも、すでに数年前からIT業務の中国へのアウトソーシングに取り組んできた企業の1つだ。今ではすっかり、アウトソーサーと安定的な関係を築き上げた同社だが、そこに至る道のりは決して平坦ではなかった。本稿では、ナイプロのオフショア・アウトソーシング・プロジェクトを追いながら、オフショア・アウトソーシングを成功に導くためのヒントを探ってみたい。 ステファニー・オーバビー ● text by Stephanie Overby 一筋縄ではいかないオフショア・アウトソーシング ナイプロのCIO、マイク・マッケンティ氏。同氏は中国へのアウトソーシングを進めるなかで、オフショア・アウトソーシングに向いている業務と、そう

電子メールを“最強の”マーケティング・ツールに変える！ “マス”ではなく“セグメント化された個”をねらえ 関連トップページ：CRM | ネットワーク／ワイヤレス “ヘタな鉄砲も数撃ちゃ当たる”式に、無差別・大量に電子メールを送りつけることで顧客の購買意欲を刺激する時代は終わった。“スパム（迷惑メール）対策”が電子メール運用上の最大の課題となっている今、無差別のメール送信は、むしろ逆効果であるとも言える。CMO（最高マーケティング責任者）がいまなすべきことは、顧客を効果的にセグメンテーションし、対象となる顧客が欲する情報を、欲する時期に送信できるような技術を導入することである。電子メールを、自社と顧客とを結び付ける“信頼のライン”にできたとき、新たな電子メール・マーケティングの展開が見えてくるはずだ。 ベス・スタックポール● text by Beth Stackpole “マス・メール”時代

「Ultimate Dependability」（究極の信頼）を目指し、経営革新を続ける日産ディーゼル工業。ITもまさにそれを実現するためのツールとして位置づけられており、技術部門にも積極的に取り入れられている。その効果も、開発コストの削減や、部門の壁を越えた情報共有の実現といったかたちで表れつつある。本稿では同社の取り組みを紹介することで、製造現場における情報化の可能性を追ってみたい。 CIO Magazine編集部　text by CIO Magazine 豊富なバリエーションがもたらす悩み 車両構成管理システムの導入を指揮し、日産ディーゼル工業で開発／設計システムの責任者も務めるシステム企画部課長の三橋修氏。氏は「フロント・ローディング型製造プロセスを実現するうえで、ユニットごとの設計成果を一元管理できる環境が不可欠だ」と語る。　photo by Kenji Kaneda ここにきて

従業員監視技術を “正しく”導入する 監視をめぐる雇用者と従業員の対立を避けるための知恵 関連トップページ：経営革新 | セキュリティ管理（CSO Online） 今や従業員の監視技術は、勤務形態の把握や生産性の向上、不正防止などを図るための手段として、CIOよりもむしろ経営陣にとって非常に魅力的な存在に映っているようだ。しかしながら、従業員を監視することによって得られるメリットにばかり目を向けていると、手痛い“しっぺ返し”を食うことにもなりかねない。それは、監視という行為が、従業員のプライバシーを侵すかもしれない危険性をはらんでいるからである。監視を行うにあたっては、たとえITを媒介にしていようと、相手がモノではなく人であることを忘れてはならない。では、ITを使った新しい監視技術を導入するためには、CIOは、どのような策を講ずればよいのだろうか。本稿では、米国企業におけるいくつかの導入事

一昨年の2004年に、「日本初のデパートとして誕生してから100年」という大きな節目を迎えた老舗デパート、三越。一般に「老舗＝保守的」と見られがちだが、同社にはその方程式は当てはまらないようだ。それを証明するかのように、同社は、各方面で注目を集めているRFID（Radio Frequency Identification）タグの実用化にいち早く踏み切り、最新技術を活用した“未来型店舗”の創出に積極的に取り組んでいるのである。 　では早速、“未来型店舗”の現場を訪れてみよう。その店舗は東京・日本橋の三越本店にある。同店本館1階の婦人靴売り場こそが、国内のデパートで最も早くRFIDで武装化された最先端の売り場なのだ。すべての商品には、値札とともに縦6センチ、横3.6センチのRFIDタグが付けられており、売り場内に設けられたタグ・リーダの上に商品を置くだけで、顧客自らがサイズ、色の在庫をリ

ビジネスの“継続”を保証する新時代のコンピューティング・モデル 社内リソースの分散化でリスクを回避する 関連トップページ：IT基盤 今日、企業におけるディザスタ・リカバリ（災害復旧）戦略の柱となっているのは、停止してしまったシステム／データの迅速な復旧と、万が一の事態に陥っても事業活動の中断を可能なかぎり短時間にとどめる「ビジネス・コンティニュイティ（業務継続）」の確保である。特に後者は、企業経営に直結する課題とあって、最近とみに関心が高まっている分野である。 そうしたなか、ビジネスの継続性を保つための有力なテクノロジーとして認知されつつあるのが、情報リソースを複数の拠点もしくはシステムに分散化することで、リスク軽減をねらう「分散コンピューティング・アーキテクチャ」である。 本稿では、最新の分散環境と目されるグリッド・コンピューティングにスポットを当てながら、災害に強いシステムのあり方

「ファーミング（Pharming）」──その驚異の実態に迫る！ フィッシングよりたちの悪いセキュリティ上の脅威にどう立ち向かうか 関連トップページ：セキュリティ管理（CSO Online） | eコマース | ネットワーク／ワイヤレス ここ2、3年、フィッシングによる被害は猛烈な勢いで拡大し、オンライン・バンキングやショッピング・サイトを運営する企業、さらにはその顧客までもが、被害防止に躍起になっている。そんななか、昨年初めごろから、新たな脅威として話題になりつつあるのがファーミングである。フィッシングの進化形とも目されるファーミングは、まだ被害件数こそ少ないものの、防御の難しさから、いずれ深刻な被害を及ぼすことになるのではないかと恐れられている。そこで本稿では、米国での被害の実態を参考に、ファーミングの仕組みとその対策方法を紹介する。新たな脅威の「早期消火」を目指すCIOやCSO諸氏の一