おれは穂村弘のことはよく知らない。よく知らないが、高橋源一郎の文章で何回か名前を見たことはある。本棚で『にょっ記』という本を見かけたので、手にとってみる。すると、こんな文章が目に入る。 4月3日 武蔵丸 武蔵丸の夢をみる。 夢のなかで武蔵丸は悲しそうな顔で訴えていた。 「私より、大きなひとも、いるんです」 「ええ」と頷いたが、それだけでは足りない気がして「わかります」と付け加えた。 武蔵丸は悲しそうに頷いた。 こんなん、面白い本に決まっている。 にょっ記 (文春文庫) 作者:穂村 弘 発売日: 2009/03/10 メディア: 文庫 で、この本、この調子で日記ならぬ「にょっ記」が綴られている。この「武蔵丸」くらいの長さのものもあれば、さらに短いもの、ちょっと長いものもある。あと、急に差し挟むけど、なぜか今夜は文章を打つのがつらい。ちょっと体調が悪いのかもしれない。 ほかに気になったものをい