大手書店の紀伊国屋書店は、出版社からの本の直接仕入れの拡大に乗り出す方針だ。 通常の本の流通ルートである取次会社を通さずに、人気作家・村上春樹氏の新刊本の9割を出版社から直接仕入れる異例の取り組みが好評だからだ。台頭するインターネット書店に対抗する狙いがある。 紀伊国屋書店の高井昌史社長が、読売新聞のインタビューで、「直接買い取りの仕組みを広げ、町の本屋を活性化させる」と述べた。 一般的な取次会社を通した取引では、書店は売れ残りを出版社に返本できる。 これに対し、紀伊国屋書店は、10日に刊行された村上春樹氏の新刊「職業としての小説家」(スイッチ・パブリッシング社)の初版10万部のうち、9万部をスイッチ社から直接仕入れた。売れ残りの在庫を抱える危険を負う代わりに、ライバルであるネット書店への供給を絞ることができ、紀伊国屋の存在感を高めた。取次会社を通さない分、利益率も大きい。