※『世界』2022年12月号収録の記事を特別公開します リベラルな国家はリベラルな国際秩序の担い手か リベラルな国際秩序の危機と世界的な民主主義の危機は、しばしば混同されている。現在の世界は、リベラルな国際秩序に従う民主主義諸国と、国内体制・対外政策のいずれもリベラルでない諸国や国内諸勢力のあいだの対立として描かれることが多い。 国際関係論におけるデモクラティック・ピース論も、民主主義国が増えるほど、国際秩序もリベラルになることを想定してきた。その理屈はリベラル以外の立場でも共有され、2000年代のアフガン戦争やイラク戦争に際し、ジョージ・ブッシュ米大統領は、軍事力を用いてでも国内体制を強制的にリベラルにすることを正当化した。 だが現実においては、国内体制はリベラルでありながら、リベラルな国際秩序の遵守度が非常に低い場合がある。その代表がイスラエルである。 対象をユダヤ人に限った場合、イス