2018年6月11日から17日、フランス・アヌシーにて第42回アヌシー国際アニメーション映画祭が開催された。本稿では映画祭のメインであるコンペティションのなかから、長編部門についてレポートする。 1960年に第1回が開催されたアヌシーは、現在でも継続しているものとしては世界最古のアニメーション専門映画祭で、規模も世界最大を誇る。アニメーション映画祭は当初、市場とは別の基準に基づいたアニメーション評価を打ち立てる目的を持っていた。つまり、世界のアニメーション映画祭シーン全体が商業性より芸術性を重視するという傾向にあったのだ。そんななか、違う方向へといち早く舵を切ったのもアヌシーだった。世界的な長編作品の製作本数の増加を背景に長編部門を開始し(当初アニメーション映画祭のコンペティションは短編部門だけだった)、(現在MIFAと呼ばれる)見本市を設立するなど、商業性にも重きをおくようになった。 現