51 原 著 『NINAGAWA ⼗⼆夜』の鏡:シェイクスピアと 歌舞伎の⽐較演劇研究 服部 厚⼦ 鈴⿅医療科学⼤学 保健衛⽣学部 放射線技術科学科 はじめに 1991 年東京で開催された第5回国際シェイクスピ ア学会は「シェイクスピアと⽂化的諸伝統」をテーマ に掲げ,⽇本におけるシェイクスピア受容に焦点をあ てた。以来⻄洋の演劇を⼿本にした新劇の流れをくむ 翻 訳 劇 と し て の 上 演 の 他 に,⽇ 本 ⼈ 作 曲 家 に よ る ミュージカルやオペラの上演,能や狂⾔,歌舞伎の伝 統を取り⼊れた演出や翻案がさかんに⾏われるように なってきた。 そのような演出を⾏ってきた演出家の⼀⼈である蜷 川幸雄は, 1974 年の 『ロミオとジュリエット』 (⽇⽣劇 場) に始まり, シェイクスピア劇の演出を多く⼿がけ, 『ハムレット』 『マクベス』 『リア王』 『ペリクリーズ