「オピオイド鎮痛薬」と呼ばれる麻薬系の強力な痛み止めをめぐり、米国では不適切な使用で死亡者が出るなど社会問題となっている。「オピオイドクライシス」について独協医科大学病院(栃木県壬生町)麻酔科の山口重樹教授に聞いた。 ▽年4万人以上が死亡 医療機関処方の鎮痛薬には幾つかの種類がある。このうちモルヒネに代表されるオピオイド鎮痛薬は、国内でもがんの痛みや慢性的な腰痛などで他の鎮痛薬の効果が不十分な場合に使用が検討される。山口教授は「医療には必須の薬で、正しく使用すれば多くの患者の身体的な痛みを緩和できる」と強調する。 しかし、米国では依存や乱用が問題となっており、2016年以降、オピオイド鎮痛薬が原因で毎年4万人以上が死亡している。「手術後などの急性痛の緩和に処方され、使用されずに余ったオピオイド鎮痛薬が患者の自己判断で頭痛や生理痛に使われたり、他人に渡されたりしている」 自己判断で使用を繰り