UNICEFの畠山勝太氏がシノドスでOno(2008)が日本の大学の入学難易度と人的資本形成の関係を分析していると紹介していたのだが(3.c節)、拝読した限りでは入学難易度と年収の関係を見ているだけに思えたので、幾つかコメントしたい。少なくともシグナリング仮説を否定するような分析は無かった。 Ono(2008)ではミンサー方程式*1で大卒男性のみのサンプル*2を用い、勤続年数、入試難易度、大学種類(国立/私立)、中学3年時の成績などで年収を説明している。入学難易度が高い方が年収が高く、私大卒は最初は年収が多く、国立大卒は勤続年数に応じて年収を高くし*3、中学3年時の成績は年収に関係が無い(Table 3参照)。ただし、入学難易度と大学種類(国立/私立)を除くと、中学3年時の成績は年収をよく説明する*4(A.2参照)。さらに入学難易度が高い大学と国立大学卒の人は、良い職業に就きやすい事も示し