<長きにわたって経済的に「痛めつけられてきた」若年層。その負のトレンドもようやく反転する兆候が見られる。雇用条件の改善は、デフレが克服されてマイルドなインフレが定着すれば、自ずと実現される将来だ> アメリカの格差と日本の格差 2016年11月のアメリカ大統領選挙は、共和党候補ドナルド・トランプの想定外の勝利となった。その背景の一つは、この20〜30年の間に拡大してきたアメリカの所得格差であろう。その経済状況に対する白人低所得者層の積もりに積もった不満が、その驚くべき選挙結果をもたらしたということである。これは、予備選でヒラリー・クリントンと民主党候補の座を最後まで争った「社会主義者」バーニー・サンダースの躍進、さらには所得分配の不平等をテーマとしたフランス人経済学者トマ・ピケティの大著『21世紀の資本論』が2014年に英語版が出版されるとアメリカでベストセラーになったことと同根の現象である