引退した競走馬の余生を支えるプロジェクトが進められている。 行き場がなく、処分される馬も少なくない現状を変えたいと考え続けていた日本中央競馬会(JRA)栗東トレーニングセンター(滋賀県栗東市)所属の角居勝彦調教師(51)の取り組みだ。乗馬や馬の手入れを通じて障害者らの精神・運動機能を向上させる「ホースセラピー」などで活用する方策を探っている。 JRAによると、毎年5000頭前後の競走馬が中央競馬を引退。種馬や繁殖牝馬になるのは一部で、大半は地方競馬へ移籍したり、乗馬クラブに売却されたりする。しかし、その受け皿も十分ではなく、多くは殺処分されるのが実情だ。 角居さんは勝てずに引退する馬への責任を感じていたが、競馬は厳しい競争の世界。「勝てなかった馬の面倒より、勝たせることを考えろ」と自らに言い聞かせ、思いを封印してきた。 牝馬として64年ぶりに日本ダービーを制した「ウオッカ」などの名