天平8(736)年の開山から1300年近い歴史を持つ新潟随一の古刹(こさつ)、胎内市の乙宝寺(おっぽうじ)は平安時代後期の1100年代に成立したとみられる説話集「今昔物語集」に記された伝説を持つ。それによると、その昔、裏山に住み着き、お経を聴きに寺の本堂にやって来る夫婦の猿がいた。あるとき、2匹の猿は木の皮を持ってきて、身ぶり手ぶりで写経をせがみ、住職がそれに応じたという。 寺は、日本海にほど近い林の中にある。参道をしばらく歩き、仁王門をくぐると、三重塔が右手に現れた。高さは24メートル余り。建立は約400年前の元和6(1620)年で、国の重要文化財に指定されている。こけらぶきの純和様式で、質素で美しいたたずまいが木々が生い茂る周囲に溶け込む。昼下がりの境内は参拝客で込み合うことはなく、包み込む静寂さが破られることはない。 写経猿の物語を今に伝える猿塚を探した。猿が訪れたという本堂、大日堂
目 次 まえがきにか えて 第1話 「奈良通」「古佛通」になれる本 (1/2)(2/2) 第2話 古佛に魅入られた写真作家達の本 (1/3)(2/3)(3/3) 第3話 古佛の修復、修理に携わった人々の本 (1/2)(2/2) 第4話 近代日本の仏教美術のコレクターたちの本 (1/4)(2/4)(3/4)(4/4) 第5話 近代日本の仏教美術のコレクターたちの本 《その2》 我が国のコレクターたちをたどって (1/5)(2/5)(3/5)(4/5)(5/5) 第6話 近代法隆寺の歴史とその周辺をたどる本 《その1》 近代法隆寺の歴史と宝物の行方 (1/6)(2/6)(3/6)(4/6)(5/6)(5/6) 第7話 近代法隆寺の歴史とその周辺をたどる本 《その2》 再建非再建論争をめぐって (1/5)(2/5)(3/5)(4/5)(5/5) 第8話 近代法隆寺の歴史とその周辺をたどる本 《そ
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