埼玉県狭山市で昭和38年に女子高校生=当時(16)=が殺害された狭山事件で無期懲役が確定し、仮釈放された石川一雄さん(79)の第3次再審請求で、弁護団が今月、新たな研究に基づく筆跡鑑定の結果を東京高裁に「新証拠」として提出した。これまで捜査関係者らが経験的に判断してきた筆跡を、コンピューターが科学的に検証する方法で、弁護団によると、この鑑定方法が刑事裁判で審理されるのは初めて。最新の知見が50年以上前の事件の審理に影響するのか、注目される。(社会部 加藤園子) 経験か、完全な客観性か 「やはり『字調べ』をやってほしい。そうすればおのずと無実が明らかになる」 今月22日、東京・霞が関の司法記者クラブで開かれた会見で石川さんが「字調べ」と表現したのは、事件当時に被害者宅に届いた脅迫状の筆跡と、石川さんが書いた上申書の筆跡を比べる筆跡鑑定のことだ。石川さんを無期懲役とした昭和49年の東京高裁判決