「小僧」という言葉も最近は聞かれなくなった。「鼠小僧」や「弁天小僧」など、フィクションの主人公や公園の「小便小僧」ぐらいか。手元の「新明解国語辞典」(三省堂)には(1)修行中の、年若い僧(2)商店などに見習い奉公している若者(3)未経験なくせに生意気な若者や、いたずらばかりして手に負えない子供――とある。「小僧=丁稚」と書いている辞書もあれば、「丁稚は、小僧などを含む慣習のこと」とする説もある。共通しているのは未熟な若者ということだろう。今回の主人公は(2)だが、その“反乱”は1928年3月14日付朝刊に大きく取り上げられた。 「犯行行為の先触れ」は円本合戦の最中だった 「円本合戦の最中に 二書店の罷業騒ぎ 軒を並べた神田の書店街で 岩波は遂に休業」。この見出しの記事は東京朝日の社会面トップで、書き出しはこうだ。 「神田書籍街の大店、南神保町の岩波書店と向かい側なる仲猿楽町の巖松堂に、ほと