珍しい鉱物ではないが、菫青石仮像の産状としては国内で最もよく知られている。母岩からの鉱物の分離が容易であり、結晶形もよく保存されている点で貴重である。最近では海外でも紹介されるようになってきた(Rakovan et al. 2006)。 亀岡産の「桜石」は京都を代表する鉱物として全国的にも知られている。また、形態の面白さからマニア以外にも馴染みやすい鉱物として、インターネットを通じて産地の情報が急速に広まり、現地を訪れる人の後が絶えない。こういった現状のなか、採取可能な露頭が不必要に荒らされたり、結晶形態の明瞭な試料が得られにくくなっている。「桜石」は日本の他地域からも産するが、母岩が適度に風化して結晶が容易に得られる地域は今のところ、亀岡以外に知られていない。