誰が電気を止めたのか――カメルーン東南部国境地域における妖術をめぐって 山口亮太 文化人類学、アフリカ地域研究 国際 #等身大のアフリカ/最前線のアフリカ#カメルーン#妖術 シリーズ「等身大のアフリカ/最前線のアフリカ」では、マスメディアが伝えてこなかったアフリカ、とくに等身大の日常生活や最前線の現地情報を気鋭の研究者、 熟練のフィールドワーカーがお伝えします。今月は「等身大のアフリカ」(協力:NPO法人アフリック・アフリカ)です。 2014年夏、カメルーンのとある町、M市に関する情報を収集していた筆者は、衝撃的なネットの記事に行き当たった。 「カメルーン:不満を持った妖術者たちが、開発プロジェクトを妨害」という見出しの記事には、電力会社が設置した発電施設を妖術者が「不思議な力」で停止させてしまい、M市街が長期の停電に見舞われたと書かれていた。このような出来事は、実はそれほど驚くことではな