米国の「全米アジア研究部会」では、中国軍がグローバルな作戦を可能にする近代化を進める一方で、日本に対しては尖閣諸島の領有権主張のために海軍力を強化し続けるという分析もなされている*1。 我が国は、地政学的に見れば、南北に長く縦深性のない国で、国民の大多数が都市に集中し、自給自足が困難な四面海に囲まれた島国である。 従って、好むと好まざるにかかわらず、自由貿易を主体とする海洋依存国家にほかならない。 現在、海運による自由貿易によって繁栄を極めている我が国であるが、そういった 意味で経済活動を含めた国家の生存が海洋の自由利用にかかっていると言っても過 言ではない。 それは、原材料を輸入し高付加価値にして輸出する経済活動のスタイルも、大きく 変わり得る要素はここ当分考えられないからだ。 こういった状況下、日本の貿易の99.7%が船舶による海上輸送であることを思 えば、現在の海運政策が極めて不十分