王座戦五番勝負は藤井聡太七冠(22)に、昨年まで同タイトルを保持した永瀬拓矢九段(32)が挑む構図となっている。第2局を取材した記者が、旧知の永瀬から対局直後に75分以上にもわたる電話インタビューに成功した。そこで語られた衝撃的な言葉とは——。〈NumberWebノンフィクション/全3回の第1回〉 八冠達成から1年後、雪辱戦のつらい結果 敗北という結果は昨年と同じだったが、内容はまるで違っていた。 藤井聡太王座の地元である愛知県で9月18日に行われた第72期王座戦第2局は、永瀬拓矢九段の完敗に終わった。これで藤井の2連勝。昨年のリベンジマッチと意気込んで臨んだ永瀬にとってはつらい結果である。 前期王座戦の名古屋対局は第3局で、永瀬が会心の指し回しを見せていた。力勝負から機敏に仕掛けてペースを握り、優勢から勝勢に持って行った。永瀬勝利の可能性が高いと聞いた報道陣は対局フロアのエレベータホール