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ブックマーク / erlkonig.hatenablog.com (3)

  • 『柳生薔薇剣』 - 魔王14歳の幸福な電波

    いささかユーモア成分多めの荒山柳生。柳生十兵衛の姉が出てきて、完全に十兵衛のキャラをいます。ていうか今回の十兵衛はただのヘタレで、実戦の描写すらまともにありません。こ、こんな十兵衛見たことない! あねうえー。 というわけで、「女の強さ」に焦点が当てられてるっぽい作品。主役は当然、十兵衛の姉である柳生矩香ですが、朝鮮政府に身柄を狙われるヒロイン的な役どころである帰化人・高月うねもまた、「強い女性」として主役格の存在感を持って描かれています。朝鮮をコケにすることに作家生命を賭けているような荒山さん(語弊)ですが、作の高月うねについては、凛々しく苛烈な意志を持った女性として、一貫して肯定的に描いています。それも、朝鮮を捨てて日に帰化したから善人扱いされているわけでもなく、彼女の苛烈さを朝鮮人の国民性ゆえのものとし、それをそのまま肯定している風に読めます。 このあたりの描写の仕方を見ていると

    『柳生薔薇剣』 - 魔王14歳の幸福な電波
    crea555
    crea555 2011/02/20
    "荒山さんが徹底的な侮蔑の眼差しを向けているのは常に権力者や政体に対してであって、無辜な民衆を不当に悪し様に書くつもりは決してないのだなということが改めてよく分かります。"
  • 『Q.E.D. ―証明終了―(23)』 - 魔王14歳の幸福な電波

    金田一君やコナン君などととは一線を画し、ガチガチのミステリ小説読みの人たちにまで異様に評判のよい推理漫画。どの巻から読んでも大丈夫、ということで一冊買ってこさせたのですが、適当に選んだ巻でもこの水準というのはなるほど、噂に違わぬハイレベルな作品なのだと思います。 収録されている作品は「春の小川」と「ベネチアン迷宮」。両作品を読んだ印象から推測するに、作者は雑学・蘊蓄まで含めた膨大な範囲の情報を把握した上で、それらを素材とした的確なロジック構造を素早く構築する力があるのでしょう。奇想的なアイデアを大量に生み出す、というタイプの作家ともまた違うようですが、たまに閃いた優れたアイデアを大事に練り込んで上質に仕上げる術も持っていそうなので、そこで「常に一定以上の水準で、しかもたまに大当たりが出る」という評価になってくるのかなと思います。 画の方はぱっとしないという意味で「標準的」なのですが、主役の

    『Q.E.D. ―証明終了―(23)』 - 魔王14歳の幸福な電波
    crea555
    crea555 2009/12/14
    毎回『凍てつく鉄槌』に押されて忘れられる『ゲームの規則』が不憫でならない加藤元浩ファンです。//絵は意図的に「平たい」感じにして、講談社漫画賞の選考で「50年後にも残る」と言われた普遍性を得たかと。
  • 『HOTEL』 - 魔王14歳の幸福な電波

    話題のSF漫画! って昨年くらいの話題ですけど。その人のSF観によって良作か傑作かの判断は分かれてしまうかもですけど、まずは外れなしと言っていい作品だと思います。 描かれる世界は基的に人間視点で、AIの感情表現などもまずはそこに依っています。だから架空倫理的な意味で「人類の進化や限界のその先を書く」というお話にはなってません。でも、そんな人間の思惑を越えて、限界の先に到達してしまう被創造物を何度も繰り返し描写する作品でもあります。 そういうつもりで創ったわけではないのに、いつの間にか途方もないものが予想もしていなかった方向に育ってしまい、作り手だけが取り残されてしまうという状況。それでも、表題作の「HOTEL」はAI自身に人間性が与えられていたので、「人類の遺したものが人類の跡を継いだ」という感覚があります。でも、その裏にあたる「全てはマグロのためだった」なんかは、作り手の意志が被創造物

    『HOTEL』 - 魔王14歳の幸福な電波
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