2020年の春、世界は新型コロナウイルスの感染拡大に翻弄され、国内でも外出自粛の要請が続いている。行きたいところに出かけ、会いたい人に会える生活が失われたことで、この社会を支えようと日々奮闘している人々の大切さを、誰もが実感していることだろう。もちろんそれは資本主義的な「労働の対価」によるところが大きいわけだが、それだけでは語り得ない献身も含まれているはずだ。 そうした献身や人のつながりが生じる理由は、資本主義というフレームではなかなか捉えにくい。たとえばもらったプレゼントに特別な価値を感じた経験は誰しもあるだろう。だがお金という尺度だけだと、その価値をうまく説明することは難しいのである。 「お金で買えないもの」をひとまず「贈与」と呼ぶとき、それは商品の売買のような「交換」とは大きく異なる性質を持つと著者は述べている。世界の誰もが「アフター・コロナ」の社会像を探している中、本書からは「贈与
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