2021年大みそか。岡山県浅口郡里庄(さとしょう)町の自宅で、NHK紅白歌合戦を見ていた私の弟(47)は慌てて家を飛び出した。暗闇の中、小高い丘の上から100メートル先にある喫茶店に目を凝らす。すると、残念そうに引き揚げてくる人がちらほら確認できたという。弟の背後から義妹の声が。「風(かぜ)くん、東京におった(いた)よ~」。風くんとは、紅白に初出場したシンガー・ソングライター藤井風(かぜ=24)のこと。喫茶店は彼の実家だった。ちなみに、弟が飛び出したのは、日刊スポーツ記者の私(54)の実家だった。 ◆ ◆ ◆ 昨年暮れも押し詰まってから、藤井風の紅白出場が発表された。まだ、広く世の中では聞き慣れない名前らしく、日刊スポーツの芸能面はベタ記事扱い。何しろ過去出演したテレビ番組はテレビ朝日「報道ステーション」とNHKのドキュメント番組ぐらいだから、無理もない。ただし、音楽業界では、デビ
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