転入転出の届け出などを受け付け、多くの住民とじかに接する窓口職員は、その役所の「顔」と言われる。だがカウンターに座っているのが職員ではないという市町村は、もはや珍しくない。 福岡県篠栗町もその一つ。窓口業務を担うのは、町から委託された民間会社だ。 制服を着た社員たちは、カウンターで住民票の写しや各種証明書の交付申請を受け付ける。仕切りの向こうにいる職員がそれを処理し、社員が住民に手渡す。 町は2014年度、本格的に業務の民間委託を始めた。住民課などの窓口業務のほか、図書館の運営などで、委託料は年間約2億4千万円。 実は非常勤職員で対応していた10年前よりも経費は8千万円ほど膨らんだ。だが民間委託では、非常勤職員を雇用した場合に必要な社会保険などの関連事務が不要になる。町総務課長の大塚哲雄(59)は「その分、職員が政策立案に充てる時間が増えた」と効果を説く。 職員は窓口から消えた。社員への業