自然対数の底eの起源 自然対数の底eが持つ最も優れた、そして最も美しい性質は、 という微分の公式だろう。この性質のおかげで計算公式が大変簡略化される。この性質は、 とも言い換えることができる。従って、 となる a の値を、eと定義する場合もある。しかし、本来のeは、このような美しい形で世に 登場したわけではない。 eについては、ネーピア(John Napier)の1594年から1614年までの20年間の労作 Mirifici logarithmorum canonis descriptio 「素敵な対数表の解説」 を抜きに語ることは出来ない。 彼が生きた時代16~17世紀は、あらゆる分野で科学が進展した時代であった。コペルニ クスの地動説が受け入れられ、新しい宇宙観のもと、ケプラーは惑星の3つの運動法則を発 見、また、マゼランの地球一周航海が成功(1521年)し、メルカトールによる新しい世