以前、千葉の刃物屋さんで包丁の研ぎ方を習った話を記事に書かせていただいたのだが、その時に先生をやられていた北島さんは、「総火造り裁ち鋏最後の伝承者」なのだという。 研ぎ方教室の後にちょっと話を聞いてみると、一挺の鋏をつくるのにかかる時間はなんと丸一日。一日一善ならぬ一日一挺。ザ・スローライフ。 本物の職人が一日かけて作るという鋏。その作り方を最初から最後まで見せてもらうことにした。 (玉置 豊) 総火造り裁ち鋏最後の伝承者、北島和男 夏のとても暑い日にやってきたのは、千葉県松戸市にある北島さんの自宅兼工房。そこは携帯の電波も入らない山の中とかではなくて、ごく普通の住宅街。まさかこんなところで鋏がつくられているとは誰も思うまい。 今日はここで撮影をしていただいた友人のカメラマンと一緒に、鋏作りの一部始終を見せていただく約束なのだ。