本稿は、ベンチャー企業の原型を第二次大戦後のボストンにおけるハイテク新産業形成の担い手となったMIT発New Technology-based Firms (=NTBFs) に求め、NTBFsが多数創業され(=簇業)、失敗と成長を通じた成功企業の集積によってハイテク新産業が形成された事実を踏まえ、これを可能にする地域の「NTBFsの簇業・成長・集積のためのEco-system構築」に向けた条件、要素、構造、動因を明らかにするモデルを導出するとともに、これを英米の代表的なNTBFs集積地に適用しつつ、その成功と失敗の因果関係を明らかにすることを目的とする。この成果をもとに、1990年代末からわが国においても追求された「大学発ベンチャー企業1,000社計画」、「産業クラスター計画」、「知的クラスター創成事業」など、USモデルの移植による新たなイノベーション政策の意義とその限界を明らかにしつつ、