<想定どおりに実施されていれば効果を発揮したはず。なぜ変質したのか、なぜ変節は許されたのか> 安倍晋三首相が辞任を表明したことで、政権の目玉だったアベノミクスも終了となる。アベノミクスには当初、大きな期待が寄せられたが、企業業績の拡大や失業率の低下こそ見られたものの、個人消費が低迷するなど、国民生活という点では成果を上げられなかった。 アベノミクスが失敗した最大の要因は、当初はしっかりしていたはずの政策の中身が流動的になり、一貫性がなくなったことにある。 アベノミクスが提唱された時点では、政策の中身は非常にロジカルだった。根幹を成していたのは、産業構造が時代に合わなくなっており、経済の仕組みを変革しないと持続的な成長は実現できないという日本経済に対する基本認識である。 だが、改革にはある程度の時間が必要となることから、その間の影響を軽減するために財政出動を実施し、長年の不景気でデフレに陥っ
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