■連載「在来作物はいま」受け継ぐ人たち(1) 秋田県と接する内陸部にある、山形県真室川町。東西と北を山に囲まれた山里だ。 6月中旬に案内された畑には、ずんぐりとした黄緑色のキュウリが実っていた。長さ20センチ、直径は5センチほど。 「勘次郎胡瓜(きゅうり)です。青臭さや苦みはなく、食べると水分がじゅわっと出て甘みもあります」。作り手の農家、高橋伸一さん(48)が教えてくれた。 実はこのキュウリ、高橋さんが町内の農家で発見し、名前を付けたものだ。 きっかけは2007年秋。当時、町役場に勤めていた高橋さんは「町ブランド開発室」に所属し、地域の魅力をいかに磨き、発信するか知恵を絞っていた。 過疎化や人口減に直面する一方で、町には伝統芸能や民話、郷土食など、古くから伝わる豊かな文化が残る。そうした地域の特色について住民に聞き取りを進めるうち、気になる話を耳にした。 「隣の家で変わった色のキュウリを
![黄色く太いキュウリをブランド化 公務員から転身、在来野菜守る:朝日新聞デジタル](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/1987cd7097118f129236c1a2e6fca4cf3139f650/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fimgopt.asahi.com%2Fogp%2FAS20240703001152_comm.jpg)