苦海浄土 わが水俣病 (講談社文庫) 作者:石牟礼道子講談社Amazon ここは、奈落の底でござすばい、 墜ちてきてみろ、みんな。 墜ちてきるみゃ。 ひとりなりととんでみろ、ここまではとびきるみゃ。 ふん、正気どもが。 ペッと彼女は唾を吐く、天上へむけて。 なんとここはわたしひとりの奈落世界じゃ。 ああ、いまわたしは墜ちよるとばい、助けてくれい、だれか。 苦海浄土(石牟礼道子)を読みました。 水俣病を描いた有名な作品です。厳しさのある重いタイトルや、池澤夏樹編集の世界文学全集に日本から唯一選ばれていたりとハードルはあったのですが、それ以上にすさまじい本でした。水俣で育った主婦が、たまたまこの病気のことを知り、患者や患者家族を訪ねて歩いて話を聞き書きしたりまとめていった本。 水俣病は社会の教科書でも公害として学び、Wikipediaやなんやかで知っていたつもりではあったけれど全然だった。水俣