竹内研究室の日記 2019 | 01 |
![竹内研究室の日記](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/f1215aed73a1dce6ada5c2fac6057a0c1df91a7c/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fimages-fe.ssl-images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F517mkU7HijL._SL160_.jpg)
中村修二さんがノーベル賞を受賞されたことから、お祝いとともに、日本の科学技術の今後について心配する声など、メディアの方の取材の依頼を受けるようになりました。 本当はフラッシュメモリがフラッシュメモリにノーベル賞が授与され、開発チームの一員、当事者としてメディアの取材を受けたかったのですが仕方ない。日本の技術者の処遇を考えるきっかけになれば良いと思います。 問い合わせて頂く内容は例えば、 「日本の技術者は虐げられているのではないか」 「ノーベル賞は日本の経済が良かった時代のもので、これからの日本の科学技術は競争力があるのか」 「日本の技術者・研究者は報われないのではないか」 「日本の大学の研究環境は悪化するばかりではないか」 「特許法の改正で特許の帰属が発明者から企業に変わることで、更に技術者のモチベーションが下がるのではないか」 個々の取材にお答えするのも面倒なので、このブログでお答えしよ
東芝をやめて大学に移ってから7年が経ちました。大学に移った当初は全く研究資金が無くて金策に走る毎日。そうしているうちに助けて下さる方いて、何とか研究室を立ち上げることができました。 当時はまだ日本の半導体はそれなり頑張っていたので、半導体産業への期待という意味で国家プロジェクトが立ち上がり、その恩恵も受けました。 おかげさまで研究室が立ち上がり、研究スタッフも集まり、多くの方のご支援のおかげで、自分では思ってみないほどの成果をあげられました。 まさか毎年ISSCCで発表できるなんて、思ってもみませんでした。 研究はとても好調ですが、実は今、予想外の逆風にさらされています。 自分の研究は順調だし、古巣の東芝のフラッシュメモリ事業も絶好調、ビッグデータを蓄えるストレージ産業も絶好調。自分の周辺だけは何の問題もありません。むしろ、状況は良くなる一方。 ところが、気付くと、周囲の他の日本の半導体や
「半導体は基幹産業なので国として守る必要がある」 「電気自動車もロボットも基盤の技術はエレクトロニクスだから、電機産業を支援すべき」 ・・・確かに、半導体やエレクトロニクスは重要な技術で、日本から無くなって良いと思っている人は居ないでしょう。しかし、 「半導体が重要だからと言って、税金を浪費してよいのか。既に日本は巨額の借金がある。」 「農業や漁業を見てもわかるように、国が産業を支援したところで、産業が強くなるどころか、かえって弱体化するのではないか」 ・・・というのも正しいのではないでしょうか。 結局は、「重要な産業だけれども、今の状態で税金を突っ込んでも無駄ではないか」ということでしょうか。 私も電機産業の一員として、自分の分野が弱体化をするのは寂しいし、おそらくこれからも日本にとって半導体や電機が重要なのは間違いないでしょう。 その一方、現在「半導体や電機を支援せよ」と言っている方た
例年のことですが、ゴールデンウィークは大型の研究予算の申請書を書く時期なので、今後どのように研究を進めるべきか、考えています。 非常に悩ましいのは、ITやエレクトロニクスでは日本企業が傾いてきて、将来の研究開発に力を入れる余裕がなくなってきていること。 ITのような応用分野の国プロのファンディングは、大学が基礎研究をやるだけではダメで、必ず出口企業(開発した技術を製品化する企業)の参画が求められます。 最大の悩みは、最近は企業の方が付いてこれなくなっている。 その一方、グーグルやアップルに代表されるような海外企業は非常に元気が良く、日本の大学の研究にも注目し始めています。 象徴的な例が、東大発のロボットベンチャー、シャフトが日本企業からは資金を得られず、グーグルに買収された件。 現在の日本、海外の企業を取り巻く状況を昨日ブログ「日本が負けつつあるのはロボットだけではない。競争する土俵が変わ
就活は勝負どころになりましたね。 就活は11、12月から始まり、ダラダラと長く続くのですが、実質的な選考は3月からの短期決戦。 この数週間で一気に内々定が出だすので、乗り遅れると厳しくなる。ダラダラやってないで、12月ごろにさっさと早く決めればいいのに、と思わないでもないですが。 それはさておき。 先日、Wedgeの4月の就活特集“「就活」が日本をダメにする”で取材を受けました。 ちょっとだけ私のコメントも掲載されていますが、取材の時に記者さんとお話してとても印象的だったことは、 「リクナビのようなネットで就活する悲劇は、学生がさも平等で誰でもチャンスがあると錯覚する」 ということ。 なるほどなあ。 現実は、ネットによる応募も大学名によって落とされたりするようですし、採用で「完全な平等」なんてあるはずないですよね。 日本企業は一度雇用してしまったら解雇は難しいから、より慎重な上にも慎重にな
電機メーカーが苦しくなる中、企業も大学も知恵を出せ、と迫られているのですが。 ・日本企業はハードは強いけれど、ソフトは弱い。 ・ハードを売るための標準化など、売るための仕組みを作ることが弱い。 ・ハードを売るための環境やコラボレーションが下手。 など、言われますね。 何か仕様が決まったものを作るのは上手だけども、何を作ったらいいかを考えるのは苦手。 また、デザインなど、新しいライフスタイルを提案するのもの下手。 なぜそうなってしまったのか。 ある技術者の言葉で、「自分は技術好きでやってきたので、そういうことを考えろと言われても苦手なんだよな」 この言葉は、今の日本のメーカーの苦しさを象徴しているような気がします。 いまや、コンピューターにしろ、テレビにしろ、エレクトロニクスの製品のスペックは十分に高い。 これ以上、スペックを上げても、対価を払ってもらえない。 だから、単にスペックを上げる技
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く