ASD者が解離症状を呈する割合は定型発達者に比べて若干多いという印象はある。 もちろん自己のあり方が異なるため、ASD者の示す解離が発症要因、症候、治療などさまざまな点で通常の定型発達者の解離とは違ってくるのは当然であろう。 定型発達者の解離のみが解離ではない。ASDにはASDの解離がある。(p181-182) このように述べるのは、解離性障害の専門家である柴山雅俊先生です。 アスペルガー症候群(DSM5では自閉スペクトラム症(ASD)に統一)の人たちは、解離の症状を伴うことが比較的多く、発達障害や解離性障害を専門に診ている医師の多くがその共通性を指摘しています。 しかし一方で、この柴山先生の言葉にあるように、ASDの解離と、定型発達者の解離(つまり一般的な解離性障害)とでは、仕組みが少し違っているようなのです。 この記事では、解離の病理―自己・世界・時代 という本にもとづき、アスペルガー