成人のおよそ30%に認められるといわれる外反母趾(がいはんぼし)。母趾(足の親指)のつけ根が飛び出し、その先が小指側に曲がってしまった状態ですが、日本人が靴を履くようになってから足の代表的な疾患となり、痛みに耐えながら日々を過ごしている人も多い身近な病気です。患者が多いだけに手術の術式も多く、150種類以上あると言われていました。根拠の不十分な治療法の乱立を避けるため、論文の信頼度を精査して2008年に外反母趾診療ガイドラインが作られ、さらに新しい報告も加味して第2版が刊行されました。今回はガイドラインに基づいた正しい知識と治し方をご紹介します。 1.外反母趾とは 母趾がMTP関節で小指側に曲がり、HV角が20度以上になると外反母趾と診断されます。HV角が20度~30度は軽度、30度~40度が中等度、40度以上が重度に分類されます。 圧倒的に中高年の女性に多いため、ハイヒールが原因と思われ