二〇〇九年に導入された裁判員制度で、裁判員を選ぶ手続きへの市民の出席率が下がり続けている。昨年一年間の裁判員候補者のうち、選任手続きに出席した人は約二割で、過去最低となった=図。裁判員制度の最大の理念は「市民参加」だが、来年五月の施行十年を前に、形骸化が懸念されている。 同制度では、有権者から無作為に選ばれた名簿登録者の中から、各裁判ごとにくじで選んだ候補者に「呼出状(よびだしじょう)」を送る。裁判所は国会議員など裁判員に就けない人を除き、辞退を希望しなかったり、辞退が認められなかった候補者を「選任手続期日」に呼び出す。この中から裁判員が決まる。 最高裁によると、一七年の裁判員候補者数は十二万百八十七人。このうち、選任手続きに出席した人は二万七千百五十二人で、出席率は22・6%だった。制度が始まった〇九年の40・3%から下がり続けている。期日前に「重要な仕事」などの理由で辞退する人も多く、