給付型奨学金を創設する法案が、参議院本会議で全会一致で可決された。これは大学生をもつ豊かな家庭に貧しい家庭から所得移転する逆分配であるばかりでなく、その財源を当の子供に負担させる世代間の逆分配だ。奨学金は親が消費し、大学は何も生産しないので、子供には国債の負担だけが残る。 かつてバラマキ財政の対象になった公共事業が減り、老人福祉も批判を浴びたので、今度は「こども」や「教育」を理由にしたバラマキが増えている。これは将来世代が政治的意思決定に参加できないというデモクラシーの欠陥を利用した、大人のモラルハザードである。 教育にコストをかけるのはかまわないが、その便益と負担の関係を納税者が正しく判断できることが前提だ。特に教育を受ける子供が意思決定に参加できないで、あとから負担を強制されるのはおかしい。このように今の国会は将来世代にただ乗りするインセンティブが強いので、長期的な意思決定には適してい
