ブルーシートに覆われた小屋の側には、水浸しになったぼろぼろの革靴や黒焦げの魚焼き網、新聞紙、段ボール、ビニール袋などが雑然と積まれていた。へどろが溜まった足下はまだぬかるんでいる。周辺に生い茂っていた木々や雑草はしなって倒れたままで、その光景が台風の威力を物語っていた。 米寿目前という年齢を感じさせない 冷たい小雨が降っていた10月14日夕、87歳の路上生活者、立花さん(仮名)は、浸水被害の後始末に追われていた。 「水位が腰の高さまで上がり、パンツが濡れるぐらいでした。小屋の中で濡れちゃった新聞紙や段ボールなどはまとめて外へ出しました」 立花さん(仮名) しゃがれ声でそう話す立花さんは、余裕の笑みすら見せる。肌つやがよく、米寿目前という年齢を感じさせないたくましさに溢れているのだ。 近くに並ぶ工事用フェンスには、黒いジャンパーや毛布が何枚も干されていた。このフェンスは国土交通省が8年前、路