2008年以降,欧州の移動体通信事業者は,急増するデータ通信需要を中心とする様々な圧力にさらされ,生き残りか退場かを迫られた。それに対して通信事業者は,大きく三つの生き残り策を講じた。これらによって大きな利点を得られる一方で,失うものも少なくない。彼らが取った方策を概観し,その影響を解説する。 (日経コミュニケーション編集部) 欧州のモバイル・データ通信が2008年以降,爆発的に増加している。トラフィックが急増する中,定額利用でのサービス提供を余儀なくされた移動体通信事業者は,「ホッケースティック・カーブ」と呼ばれるジレンマに直面した(図1)。音声の時代には,トラフィック増による費用増はそれに伴う収入増で賄えた。しかしデータ通信の時代に入り,急増するトラフィックに対してわずかな収入増しか望めなくなっている。 一方,別の方面からの圧力も明確になり始めた。欧州各国政府によるモバイルを含むブロー
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