(前回から読む) ユーロという患者の「容態」は、相変わらず回復しない。債務危機は、地震や原子炉建屋の水素爆発と違って、目に見えない。原発の炉心溶融と同じく、目に見えないところで事態が少しずつ深刻化する。 ユーロ圏の「炉心溶融」の深刻さを視覚化する唯一の物が、国債の利回りの折れ線グラフだ。「この国債に投資したら、金が返ってこなくなるかもしれない」と恐れる投資家が増えるほど、国債の利回りは高くなる。利回りが高くなるほど、政府は金を借りにくくなる。利回りがじりじりと上昇する様子は、熱病に苦しむ患者の体温を示しているかのように見える。返済期間が短いギリシャの国債利回りは100%を超えているが、これは紙くず同然の国債であり、誰も投資しようとするものはいない。 イタリア国債への不信感 10月27日に欧州連合(EU)加盟国首脳がブリュッセルでの徹夜会議で、欧州金融安定化ファシリティ(EFSF)の拡大など