今年初めに出た「フォーリン・アフェアーズ」誌を見て、ちょっと驚いた。「フォーリン・アフェアーズ」は、米国外交問題評議会が発行する国際政治経済問題に関するオピニオン誌である。 90周年記念号ということで、特集が組まれているのだが、そのテーマがthe Clash of Ideas、つまり「思想の衝突」というものだ。ファシズムから共産主義まで、いかに欧米諸国が対立する思想に打ち勝って自由主義・民主主義を維持、確立してきたか、歴史的な論文を集めて振り返っている。なんだか20年前の冷戦終結のときに組まれたような特集だなあ、と思いつつ、読んでいて気になったのが、そのトーンがあまり楽観的ではないことだ。 もちろん、いかにロシアやトルコなどの非欧米諸国にも自由と民主主義を広げるかという、ブレジンスキーの筆による「民主主義の旗手アメリカ」的な使命感にあふれた論考もある。しかし、その一方でジョージタウン大学の