我々は惑星テランの周回軌道上にある。ここから月面までは3ステップ、まず月周回軌道に移る。降下ポイントを決める。そして、着陸である。 惑星テランを回るパーキング軌道で、再度メインエンジンに点火する。 シャトルはテランの大気層をなめるように、月に向かって一直線に進んでいく。どうやら地球の重力井戸を脱出するために、実際の宇宙機が使うようなコースを取るわけではないようだ。特殊な宇宙ゆえの移動である。 一瞬だが、バレンの極方向はるか遠方に、複数のマーカーらしきものが見えた。これは何だろう? またひとつの謎が増えた。 月の周回軌道に入った。それを祝福するがごとく、地平線の向こうから太陽の光が差し込んでくる。いよいよ最終フェーズだ。 降下ポイントは3つのみ。母星テランに比べてその円の大きさから、相対的にバレンの小ささが推し量れる。眼下に見える半球の面積は、これまでテランで探索した範囲とほぼ同等だろう。