沖縄には「弥勒世果報」という言葉がある。読み方は「みるくゆがふ」。仏教と沖縄古来の信仰が合体した神がもたらす平和な世をさす▲沖縄が復帰50年を迎えた。米軍統治の「アメリカ世(ゆー)」の時代が終わり「大和世(ゆー)」に戻って半世紀を経た。だが、過重な米軍基地の負担は沖縄をなお縛っている。復帰後初代の県知事、屋良朝苗(やら・ちょうびょう)さんは当時「沖縄問題はこれから始まる」と語っていた。弥勒世は遠く、いばらの道が続く▲普天間飛行場の辺野古移設を巡る政府と県の対立は泥沼化している。軟弱地盤で技術的な実現性すら疑問視されるにもかかわらず、基地建設を押しつける国の姿勢はもはや問答無用だ。選挙で「民意」が問われるたびに国と沖縄、沖縄内部の分断が深まる▲安全保障の環境が厳しさを増す中、沖縄基地問題とどう向き合うかは確かに難しい。それでも、基地が過剰に集中する理不尽な状況を変える責任は国と、国民全体にあ
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