政府が導入しようとしている残業の上限規制を巡り、月100時間の残業を容認するかが焦点となっているが、最近の労働裁判では、月80時間を超える残業について「公序良俗に反する」「労働者への配慮に欠ける」との判断が相次いでいる。日本労働弁護団の棗一郎幹事長は「政府の規制案は(訴訟になった場合)裁判所に無効とされる可能性もある」と指摘する。 飲食店の店長だった男性が未払い残業代の支払いを求め、岐阜地裁で争われた訴訟。会社が月83時間の残業代に相当する月10万円の管理者手当を支払っていたことについて、地裁は2015年10月の判決で「(厚生労働省が残業上限の目安とする)月45時間の2倍に近く、相当な長時間労働を強いる根拠となり、公序良俗に違反すると言わざるを得ない。手当を残業代と認めることはできない」との判断を示し、原告の請求を認めた。 北海道のホテルで料理人として働いていた男性が未払い残業代を求めた訴