Twitterを見てると、「統計力学の計算は近似がガバガバ」とかいう表現をよく見かける。それだけではどういう近似のことを言ってるのか分からなくて、指数関数の肩を二次まで展開してやめちゃうところかなとも思うのだけど、今回はそこではなくて、小さい数をどんどん無視する計算について書こう。 いちばん簡単な例として独立二準位系のミクロカノニカル・アンサンブルを考える。$${N}$$個の二準位粒子がある。$${N}$$はアボガドロ定数程度、つまり$${10^{24}}$$くらいのすごく大きな数としよう。各粒子は0または$${\epsilon}$$のふた通りのエネルギーを取れる。全エネルギーが$${[E,E+\Delta E]}$$であるような微視的状態を数えたい。ここで、$${E\gg\epsilon}$$とする。この意味は$${E}$$が$${O(N)}$$ということだ。ただし、$${O(N)}$$