東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故から13年。このほどNHKが茨城県に行った情報公開請求で、事故当時の住民の避難をめぐる「文書」の存在が明らかになった。文書の日付は2011年3月16日。 大勢の福島県の住民が原発周辺から避難しているさなか、茨城県は福島県に対し「避難が要請されていない住民には、個別自動車による避難をできるだけ抑制されるようお願いします」と要請していた。 “避難の抑制”を求める文書はなぜ出されたのか。その背景に迫った。 発端は耳を疑うような情報 震災と原発事故から10年余りが経過した頃、私はある取材先から、驚くような話を聞いた。それは、原発事故の状況が悪化の一途をたどり、福島県内から大勢の住民が県内外へ避難を行っていたさなか、茨城県が福島県内の報道機関に対して「茨城県に来ないよう呼びかけてほしい」と要請していた、というもの。 そもそも、あの事態の中で茨城県がその