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ブックマーク / honz.jp (26)

  • 『連続講義・デフレと経済政策』by 出口 治明 - HONZ

    久しぶりに、寝を忘れて、一晩で読んでしまった。今、まさに知りたかったことに、真正面から答えてくれるに出会ったからである。 巻頭に福沢諭吉の言葉が引かれている。 「語に云く、学者は国の奴雁なりと。奴雁とは群雁野に在て餌を啄むとき、 其内に必ず一羽は首を揚げて四方の様子を窺ひ、不意の難に番をする者あり、之を奴雁と云ふ。学者も亦斯の如し。(以下略)」 著者の問題意識が、この一文に見事に凝縮されている。そう、書は一世を風靡しているかに見えるアベノミクスの上質で真っ当な経済分析なのだ。 書は一問一答の形式で書かれており、文章も平易で論理的である。一見したところ、とっつきやすい印象を受けるが、その内容は骨太かつ高度であり、経済学の最新の地平がほぼ余すところなく網羅されている。金融機関に勤めるエコノミストでも、ここまで明晰に頭の中がきちんと整理されている人は、ほとんど見当たらないのではないか。そ

    『連続講義・デフレと経済政策』by 出口 治明 - HONZ
  • そうだ、京都、まわろう。『京都の平熱』 - HONZ

    バスに乗ってまわると、京都はいいよ。 友人にそう教えてもらったことがある。歩くには広すぎる。地下鉄では、景色も見えないし、寄り道もしにくい。タクシーでは、お財布具合もあるけれど、運転手さんに気を遣ってしまうしね。バスだと、勝手に動いてくれる割には、自由でしょう? 友人はそんなことを言っていたが、数も多い京都の市バスは確かに便利だ。そんな背景もあるのか、書の案内人、鷲田先生(なんとなく、先生と呼ぶのがしっくりとくる)は、206番のバスに私たちを乗せる。 京都駅から、七条通を東進、東大路を祗園へ、岡崎、百万遍を通り、高野を経て北山通を、下鴨、紫野へと西に進み、千通を下がり、大宮通へ、そして島原や西願寺を越えたところで再び駅へ、とぐるり京都の街の中心部を東回りで周回するバス。地区ごとにブーッと押してバスを降り、ああだこうだとおっしゃるエッセイの体裁なのである。 京都を案内するは数多い。

    そうだ、京都、まわろう。『京都の平熱』 - HONZ
  • 『すごい人のすごい話』をすごい人が聴く - HONZ

    古書を購入するために1億円以上の借金を背負った。 出版社社屋で寝泊りしながら『世界大博物図鑑』を1人で書き上げた。 の購入資金捻出のために、1日に1回しか事せず、10年間同じスーツを着続けた。 愛書家として上記のような伝説を多く持ち、「中学生のころから、読んで感激したの著者に手紙を書いて、勝手に弟子入りを決め込」んでいたというアラマタさんが、「なんてすごい人なんだ」と感嘆した15人に会いに行き、対談した内容をまとめたである。 もともと2008年から2009年の間にみずほ総合研究所の会報誌『Fole』に連載されていたインタビュー企画であるが、そのすごい話は2013年の現在に読んでも新鮮に感じられるものばかり。当にすごい話というのは、そう簡単には古くならないのだ。単行化にあたって大幅に加筆・修正が施されており、東日大震災について言及している部分もある。 400ページ以上にわたって

    『すごい人のすごい話』をすごい人が聴く - HONZ
  • 『ハウス・オブ・ヤマナカ』 - HONZ

    明治の揺藍期に日の美術品が海外に流出したのは広く知られる。海外の美術商が直接買い付けた物もあるが、日人の手によって広まった物も少なくない。中でも明治期から第二次世界大戦が始まる前まで、欧米で存在感を放ったのが山中商会だ。ニューヨーク、ボストン、イギリスなどに支店を構え、ロックフェラーなどの欧米の富豪に日中国の美術品を供給し続けた。書は、山中商会の事業の拡大と衰退を時系列で描いている。 戦前、それも明治期の美術商は個人での活動が多かった。山中商会も隆盛期に経営を担った山中定次郎の活動が山中商会の評価と重なる部分がこれまでは大きかった。実際、山中商会について詳しい 『山中定次郎扇伝』などの文献では、その書名からもわかるように、定次郎を中心に山中商会の歴史は描かれている。こうした中、書が新たに提示した視点とは、山中定次郎=山中商会の構図をぬりかえたことだろう。著者は明確に記していない

    『ハウス・オブ・ヤマナカ』 - HONZ
  • 『どうしてボクはいるの?―息子とパパの哲学対話』 - HONZ

    「ねえお父さん、なぜぼくはいるの?」 著者の息子オスカーの質問だ。子供は物の哲学者だとよくいわれる。こんなことを実際に聞かれたら思考が一瞬、停止してしまうかもしれない。 書は魅力的な哲学のだ。哲学といっても、まったく固くならずに読める内容である。著者はドイツ人作家で哲学者のリヒャルト・ダーフィト・プレヒト。原書はドイツ語版『Warum gibt es alles und nicht nichts? Ein Ausflug in die Philosophie. 』2011年に発売され、10歳以上の子供から、人生の大きな問題を子供達にどう話していけばいいかを考えている大人までが楽しめる内容で大ベストセラーとなった。そもそも、著者のプレヒトは夫人との間に三人の継子があり、その子供達に説明してやれるを書きたいと考えていたところ、そういう内容なら大人も興味を持つかもしれないと、出版社が気づ

    『どうしてボクはいるの?―息子とパパの哲学対話』 - HONZ
  • 『〈生命〉とは何だろうか』 つくって理解する生命 - HONZ

    ドラえもんが生物でない理由を答えよ これは、2013年度の私立麻布中学校の入試問題である。東大合格者を多数輩出する名門校が用意したこのユニークな、そして、科学の質に迫る問いはネットでも大きな話題となった。実際の問題には答えを導きやすくするための補助が添えられているが、小学生のみならず、大人の知的好奇心もくすぐる良問だ。あなたなら、この問いにどう答えるだろう。 生物ではない理由を考えるためには、生物(生命)の必要条件を考える必要がある。シュレーディンガーの古典的著書をひくまでもなく、『生命とは何か』という問い自体は新しいものではなく、似たようなタイトルのも数多く出版されている。あふれる類書の中から書を際立たせているのは、この問いへの「取り組み方」である。 細胞分子生物学専攻の大学教授である著者は、「生命をつくる」ことで「生命とは何か」の答えに近づこうとしている。未解明な仕組みが多く、明

    『〈生命〉とは何だろうか』 つくって理解する生命 - HONZ
  • 『機械との競争』テクノロジー失業の時代が迫っている - HONZ

    2013年のベスト装丁賞はこので決まり!表紙やデザインも美しいけれど、このは写真で見るよりも、実際に手にとってもらったほうが、より素晴らしさがわかるだろう。写真ではわからないと思うが、カバーと体の両方に凹凸があるのだ。カバーの一部に凹凸があるはよくみかける。しかしカバーを外したとき、体にまで凹凸があるはあまりみたことがない。 このにいたっては、背表紙にまで凹凸があって驚いた。ぜひ店頭で手にとって造の素晴らしさを体感してほしい。これが棚にあったらかっこいいと思う。それだけでも買う価値あるのではないだろうか?家の棚では面陳(表紙をみせて陳列する方法)にして置いておきたい。と、つい装丁の素晴らしさを力説してしまった。 装丁も素晴らしいが、内容もまた刺激的なのである。このでは情報技術が雇用、技能、賃金、経済に及ぼす影響が論じられている。中心となるトピックは景気が回復しても、失

    『機械との競争』テクノロジー失業の時代が迫っている - HONZ
  • 『ウォールストリート・ジャーナル式 図解表現のルール』 - HONZ

    戦略コンサルタントにとっては「いまさら」感があるかもしれないが、図解表現の基をウォールストリートジャーナルのグラフィック部門の責任者が解説しただ。基だから、いまウケている、すなわちすぐに古臭く見えてしまうようなテクニックは紹介されていない。WSJだから、USA Today的なフルカラーの図解も扱っていない。 たとえば円グラフの項では、パイの一部分を切り離すような特殊効果や3次元効果は使わうべきではないと断言する。家やヒトのアイコンを使って量の比較をする場合、部分的なアイコンは使うべきではなく、縮小拡大もダメだとする。 当たり前のようなことなのだが、このたぐいの基の摺合せをしておかなければ、チームでプレゼン資料を作るときなどに不都合が生じるし、なによりもダサいプレゼンになってしまう。チームで一冊持っていても損のないだ。 ところで、訳者の経歴がスゴイ。辻調理師専門学校→ブラウン大学と

    『ウォールストリート・ジャーナル式 図解表現のルール』 - HONZ
  • 『ビジョナリーであるということ』 「ドクターV」の伝説 - HONZ

    ビジョナリーであるということ 作者: パヴィスラ・K・メータ, スキトラ・シェノイ, 矢羽野 薫 出版社: ダイヤモンド社 発売日: 2012/11/9 「ドクターV」ことゴヴィンダッパ・ヴェンカタスワミー博士が「アラヴィンド眼科医院」を開いたのは58歳の時だった。 インド南部のマドゥライ大学を定年退職したドクターは、自宅を抵当に入れ、父の代わりに世話をしてきた5人のきょうだいを集めた。彼らも、11床の小さな病院のために貯金をはたいた。それでも足りなくなると、代々受け継いできた宝石を質に入れた。目的は、治せる病気で失明する人を減らすことだ。平日は病院で手術し、週末には地方で「アイ・キャンプ」を開催した。手術代が払えなければ、払わなくて良い。病院までの交通費も、入院費も、手術後の薬代も、経過観察のための往診費も、病院持ちだ。眼科はマイナーで利益が少ない。確固たるビジネスプランは無かった。原価

    『ビジョナリーであるということ』 「ドクターV」の伝説 - HONZ
  • 『群れのルール』 プレジデント9.13号 新刊書評掲載 - HONZ

    書の骨子は、ネット時代には新しい経営学や組織論が有効であり、そのためには生物学の知識が役に立つというものだ。しかも、この場合の生物学とは、個体の研究ではなく、群れとしての生態を観察することだというのだ。 例をあげてみよう。5つの選択肢をもつ超カルト・クイズを考えてみる。回答者は5つのうち、どれか1つだけは不正解であることを知っていることにする。個人が正解する確率は25%だ。 しかし、集団の正解率は100%近くなるはずだ。正解だけは20%以上の得票を得るからだ。つまり、集団の中から正解を出せる人を選ぶのではなく、集団として意思を決定させれば、正解率は跳ね上がることになる。 ネット時代にはそのような意思決定が、会社のような組織においても、社会レベルでも瞬時にできるようになった。 書は前半で、サウスウェスト航空の予約システム戦略、赤アリの組織的行動、産業用ガス会社の生産・配送システム、ミツバ

    『群れのルール』 プレジデント9.13号 新刊書評掲載 - HONZ
  • 『パリの女』 - HONZ

    岩波書店やみすず書房など8社で行っている「書物復権」企画の1冊だ。奥付によると、翻訳版の第1刷は1959年4月15日、第2刷は2010年5月27日である。あくまでも第2刷であって、第2版ではない。したがって、今回付け加えられた文章などはない。あとがきも訳者の朝吹登水子による1959年3月24日付けのものである。そして文はもちろん活字だ。 文字だけの文は68ページ、その後ろに文に対応した114枚の写真が追うという構成だ。いまではパリに憧れることは、じつにノスタルジックな心象だ。しかし、書には憧れるべきパリがある。登場するのはジュリエット・グレコ、ジジ・ジャンメール、バルバラ・ラージェやムーランルージュの踊り子たち。それに市井の働く女たち、娼婦、尼さんなどパリに住む女たちである。 この翻訳のタイトルは『パリの女たち』ではなく『パリの女』である。原題は『Femmes de Paris』

    『パリの女』 - HONZ
  • 『SAHEL』 - HONZ

    作者:Sebastiao Salgado 出版社:University of California Press 発売日:2004-10 yasuji81さんからコメントいただいたので、それをもとに記事にしてみることにした。共感いただいたセバスチャン・サルガドの『WORKERS』はグローバルなワーキング・プアまたは過酷労働を中心とした写真集だった。 サルガドをもう一冊紹介しておこう。『SAHEL』はアフリカのサヘル地帯にある国々を1984年-1985年にかけて取材した写真集である。この年代にはチャド、エチオピア、マリ、スーダンでは100万人もの人が栄養失調で死亡した。四半世紀前の過去なのだが、壮絶で過酷な生と静かな死が目の前にある。光と影に包まれて絶望するしかない人々。ルポルタージュでも、小説でも、動画でも絶対に表現できない、ただごとではない世界がそこにある。 書の最終ページに載っている写

    『SAHEL』 - HONZ
  • 『日本型リーダーはなぜ失敗するのか』賢者は歴史から学び、愚者は経験から学ぶ - HONZ

    書を読みながらまず思ったことは「おいおい、日は太平洋戦争からまったく何も学んでいないじゃないか。」という一点だった。 もちろん、この歴史に学ばない日については、様々な時局で指摘され続けていることは判っている。無責任きわまりない年金行政や、革新性を失い戦力を逐次投入し、衰亡する家電業界などがその代表例だろう。しかし、福島の原発事故とその事故処理を目にし、書を読んだあとでは、この日の体質は自らの身に迫る危機として感じることができるはずだ。 官僚の不正や大企業の非効率を非難するだけですむ時代はまだよかった。原発やいじめ問題など行政の怠慢による生命の危機や、大企業経営の失敗による大量失業などが迫ってくるいまこそ、日人は腹を据えて、太平洋戦争から学ばなければならない。 この分野では野中郁次郎らによる『失敗の質』という優れた先行書がある。ミッドウェー海戦やレイテ海戦など、日軍の太平洋戦

    『日本型リーダーはなぜ失敗するのか』賢者は歴史から学び、愚者は経験から学ぶ - HONZ
  • すべらない授業 - 『これが物理学だ!』 - HONZ

    大量のアクセスとともに「Webスター」の称号も手に入れた、あの名物教授の講義がついに書籍化された。 MITの物理学者ウォルター・ルーウィン。彼の講義は、まるでロックスターのように教壇上をところ狭しと駆け回り、大教室をまるでサーカスのような興奮のるつぼと化してしまう。決め台詞は「その目で見ただろう?これが物理学だ!」。 その熱狂は、学内のみに留まるわけもない。MITのOCW(オープンコースウェア)プロジェクトが彼の講義ビデオをウェブ上に公開すると、またたく間にこの授業は世界中に知れ渡ることとなった。 その人気の秘密は、教室を一瞬で非日常空間へと変えてしまう、大規模なデモンストレーションにある。5メートルの椅子のてっぺんに腰掛け、床に置いたビーカーのクランベリージュースを、試験管で作った長いストローで吸い上げる。あるいは、大怪我の危険を冒して、小さいながら破壊力のある解体用鉄球の軌道上に自分の

    すべらない授業 - 『これが物理学だ!』 - HONZ
  • 『貧乏するにも程がある』 - HONZ

    書の著者は「文芸評論のかたわら歯科医」もしている。書の著者紹介やウィキペディアなどでは「歯科医のかたわら文芸評論」をしているとなっているが、まだ四〇才台半ばで二〇冊以上の立派な著作があるのだから、順番が逆だ。歯科医は副業といってもよい。 しかし、この職業紹介の順番はいかにも歯科医のほうが評論家よりも立派な職業だといわんばかりである。実際には全国に十万人近くもいる歯科医にくらべ、えている文芸評論家などは二桁台であろう。それでもなお、歯科医が先にくるのは国家による認証がいまだ尊ばれるためだろう。日では芸術であっても、お上のご威光の前では文字通り二の次なのかもしれない。 ところで書は近代日の文学者を金銭面から見た評論である。「芸術とお金の”不幸”な関係」という副題がついているが、実際には明治から現代までの日小説家や歌人を扱っている。 森鴎外などの兼業作家と夏目漱石などの専業作家。

    『貧乏するにも程がある』 - HONZ
  • 『 アメリカの毒を食らう人々』 - HONZ

    久しぶりに仰天した。レイチェル・カーソンの『沈黙の春』を読んだときも、見えざる毒物の恐ろしさに体が震えたが、このはさらに悪質な毒物を意図的に放置しているアメリカという国を告発している。 たとえばノースカロライナのキャンプ・ルジューン海兵隊基地では70年台の終わりから動物たちが死にはじめ、やがて海兵隊の家族たちはガン、先天異常などの多発に悩まされる。原因は軍による過塩素酸塩を含むロケット燃料の敷地内不法投棄であり、地下水に依存した上水道システムにある。この毒物は2004年時点でもアメリカの35州の飲料水で検出されているという。 中国の環境問題と比べると被害人口的には無視できる規模かもしれないが、将来アメリカ軍が支払う可能性のある医療費を考えると、将来の軍事バランスに影響を与えかねない規模である。 書ではこれ以外にも予防接種ワクチンに含まれるチメロサールという物質が自閉症の原因物質であるこ

    『 アメリカの毒を食らう人々』 - HONZ
  • 『師』 メダリストに一流の恩師あり。 - HONZ

    ロンドン五輪の熱狂覚めやらぬ中、銀座で行われたメダリストのパレードには50万の観衆が駆けつけた。史上最多の38個のメダルを獲得した五輪のヒーロー・ヒロインたち、真剣勝負の険しい表情も凛々しいが、晴れやかな笑顔も見ていて気持ちが良いものだ。 栄光の勝利、そして歓喜の渦の中にあっても、天才アスリートは自分を支えてくれた人々への感謝の言葉を欠かさず口にする。彼らは大きな壁にぶつかったとき、見守り、救ってくれた人たちがいたからこそ、今の自分があるということを知っている。 しかし裏を返せば、アスリートの悩みは恩師たちの悩みでもある。一流選手の影に一流の恩師あり。書では、ロンドン五輪・日本代表を支えてきた6組7名の恩師たちのエピソードが紹介されている。いずれの話も、人を育てること、何かを伝えることに思いのある方への示唆に富んでいる。 競泳日本代表のヘッドコーチを務めた平井伯昌の教え子には、北島康介、

    『師』 メダリストに一流の恩師あり。 - HONZ
  • 『Encyclopedia of Flowers–植物図鑑』 新刊超速レビュー - HONZ

    書棚に置いておくべきがある。人生のときどきに読み返したくなるはもちろんだが、書棚の持ち主の問題意識やセンスを一瞬で感じ取れるようなもある。ボクにとって前者の究極は『ご冗談でしょう、ファインマンさん』であり、問題意識という意味での一冊はセバスチャン・サルガドの『Workers』だ。この軽いエッセイと重い写真集の2冊があれば、目の前に高い壁が見えてきても勇気を持つことができる。 もうひとつの自分のセンスを表現するためのを選ぶのはなかなか難しい。年齢を重ねるにつれ音楽ファッションなどの好みは変化することがあるし、それがかならずしも第3者からみてよいセンスだと思われないことも多いからだ。しかし「好き」を自認する人たちに共通して受け入れられるであろうセンスの良いを発見した。 著者はアートワークを担当する東信(あずままこと)と写真を担当する椎木俊介だ。2人は注文に合わせて花材を仕入れ、花

    『Encyclopedia of Flowers–植物図鑑』 新刊超速レビュー - HONZ
    dh_SPQR
    dh_SPQR 2012/08/14
  • 『バースト!』 - パラダイムを超えた、人間行動の法則 - HONZ

    一瞬、何かの間違いではないかと思った。著者が『新ネットワーク思考』でネットワーク社会の新たな扉を開いたバラバシであるならば、情報科学がテーマとなっていることだろう。そして翻訳者が青木 薫ならば、そこに数学や物理などの自然科学が絡んでいるはずだ。しかし書の中身は、大半が中世十字軍の話で占められているのである。 もう少し中を見ていくと、さらに奇妙なことに気がつく。中世十字軍の話は偶数章のみで、奇数章では現代のネットワーク関連の話が多岐に渡って紹介されている。それも、FBIにマークされて自分の位置情報をアップし続けた男の話、ドル紙幣の追跡サイトWheresGeorge.comの話、ハンガリーのポータルサイトにおけるサイト訪問者の法則など、一風変わったものばかりだ。 このは、一体どうなっているのか?そんな不安が期待へと変わるのは、第7章の最後のあたり。 第1章から章までのあいだにしてきた話は

    『バースト!』 - パラダイムを超えた、人間行動の法則 - HONZ
  • 『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』締め切りを守れないあなたへ - HONZ

    「9」日は眠れない。9日、19日、29日の夜、私はビール片手にうなっている。HONZのレビューを翌朝までに仕上げなければいけないからである。HONZの熱心な読者ならばご存じかもしれないが、HONZのレビューは輪番制。10日、20日、30日とゼロの付く日が私の当番日であるため、前日の夜ともなればオリンピックどころではないのである。 だが、考えてみれば、私の当番日は何ヶ月も前から自明なのである。「新刊の書評」というHONZの制約を差し引いても数週間先を見越してのスケジュール調整は可能なはずだ。それなのに、前日の夜、というよりも当日の未明になるまでレビューの執筆に着手しないのは我ながら何なのだろうか。なぜ、五輪のなでしこJAPANの決勝戦をまともに見れずに書評を書くハメになったのか。いきなり先制されたではないか。マンションの隣の住人がうるさくてたまらないではないか。ぎりぎりまで手をつけないなんて

    『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』締め切りを守れないあなたへ - HONZ